観た映画(2021年10~12月公開)

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
 クレイグ版ボンド完結。過去4作と話が繋がってるが勿論ほぼ忘れての鑑賞。ビジュアルが格好良くアクション的に面白いシーンが満載だが、継ぎ接ぎ感が凄まじく、能面をわざわざ被る必然性を始めディテールに難が目立ち完成度は低い。チョイ役の新人ボンドガールが最高な一方で、もっと出番が多い00部門の後輩に全然見せ場が無いのも酷い。

 

『護られなかった者たちへ』
 生活保護制度の闇を暴き出す社会派ミステリという触れ込みだが、シリアスな問題提起の足を引っ張っるミステリ・パート。序盤から被災者3人組にスポットをあてメインキャストに若い女性が清原果耶のみって時点でミスリードは無理。「度が過ぎるほどのお人好し」な筈の永山瑛太の演出など、役所側の葛藤や逆恨みに至るプロセスが弱い。

 

『DUNE/デューン 砂の惑星
 古典SF大河ロマン、二部作の前編。84年版より枝葉を大幅に削ぎ落とし駆け足にならずに物語を展開しているものの、壮大すぎる設定の説明に尺の半分を費やされ話が盛り上がる手前でぶつ切り。映画単体では退屈だが世界観の構築は素晴らしいという困った作品。やたらと格好良いメカ・ギミックを肴に我慢して後編に期待。

 

『最後の決闘裁判』
 14世紀フランスでの史実を基に『羅生門』スタイルで贈る決闘裁判の顛末。三者三様の物語で綴られる都合の良い解釈・不都合の隠蔽が面白い。話の肝は本人証言のみの性犯罪被害という現代ですらセカンドレイプ必至な案件で、野蛮で理不尽な中世での告発のリスクが恐ろしい。粗暴亭主と夢想野郎の決闘は「どっちも死ね」って感情になるのが困る。

 

『CUBE 一度入ったら、最後』
 四半世紀前の密室スリラーの日本リメイク。残酷描写は無理だし脱出ゲーム的謎解きで頑張ると予想したが、半端にオリジナル準拠の解読は退屈で、しかも法則性謎の時差トラップ多数。ドラマを菅田将暉だけに集中させる愚挙で意外性ゼロのキャラ達が更に陳腐化。

 

『アイの歌声を聴かせて』
 『イヴの時間』吉浦康裕監督のオリジナルアニメ。アンドロイドと少年少女の交流を描くジュブナイル。古典的な題材だけど、実験都市の近未来ガジェットの数々、ディズニー・プリンセス、スクールカーストな青春群像劇等を織り交ぜ、令和のキッズ向けによく練られている。開発企業のセキュリティが徹底的にガバガバなのはちょっと気になるが。

『リスペクト』
 ソウルの女王、アレサ・フランクリンの伝記。音楽映画として良くできてて、不遇時代はもどかしく、ブレイク後は名曲が作られていく過程が楽しい。人種差別や男尊女卑への反抗心を抱え込み、ゴスペルや信仰と結び付いて「歌」に昇華する様も見事。ただ、扱われるのは前半生のみなので、史上最も偉大なシンガーとされる説得力は物足りない。


『モスル あるSWAT部隊の戦い』
 ISIL支配下にあったイラク第二の都市モスル奪還作戦の終盤が舞台の社会派戦争映画。臨場感が半端なく、難癖でフセイン政権をぶっ壊した結果として街全体が戦場化し荒廃した様をリアルに感じられる。中東系キャストがアラビア語で喋るがアメリカ作。新兵が修羅場を経て戦士に成長するお馴染み「小隊モノ」の物語構造になってるのが面白い。

 

『ディア・エヴァン・ハンセン』
 どう見ても高校生には見えないが、原作ミュージカルのオリジナル・キャストと言われれば歌唱はバッチリだしそこは許容せざるを得ない。孤独を抱える者達への癒やし系で感動的な歌が豊富なのだが、倫理的には完全アウトな嘘から始まるプロット、更に主人公の高い吟遊詩人スキルの所為で、すんなりとは受け容れがたいのが困る。

『ラストナイト・イン・ソーホー』
 過去を幻視できちゃう女の子が最先端カルチャーの発信地だった60年代ロンドンに迷い込み、華やかな時代の陰に潜む暗部まで目の当りにするサイコホラー。エドガー・ライト監督らしいスリリングで凝った筋立てで、なによりメインの女優二人が魅力的だった。強引な終盤はご愛敬。問題はホラーにしてはあまり怖くないって点だけど・・・。

観た映画(2021年7~9月公開)

『トゥモロー・ウォー』Amazon独占
 人類滅亡の危機に現代人を未来に借り出すプロットは斬新だったが、完全に設定倒れで意味が無かった。作り手が時間SFの醍醐味を全然理解してないので、次々と肩すかしを食らうはめに。頭の悪い脚本を笑うには絶好の超B級作で、退屈はしない。

 

ゴジラvsコング』
 ハリウッド版シリーズ第4弾。子供に媚びて陳腐化した昭和ゴジラの轍を敢えて踏むリスペクトに苦笑。妙に察しの良い連中が馬鹿論理で織りなす出たとこ勝負なドラマはさておき、巨大怪獣が街を破壊し肉弾戦を繰り広げる醍醐味は存分に堪能できた。

 

『東京リベンジャーズ』
 未読だが漫画実写化にしては当たったらしいので観てみる。ティーンが大好きな正義とワルのヤンキー抗争ものだが、話は薄くタイムリープ設定も半端。女子ウケ良しの旬なイケメンが一杯だが暴力描写はエグめ。アクションは並。キャストがハマってるのか?よくわからない。

 

『プロミシング・ヤング・ウーマン』
 デートレイプなゲス野郎に鉄槌を下す痛快ヒロインの話かと思えば、社会のあり方に対する強いメッセージ性を持つ作品で、展開に捻りも効いてて面白かった。この題材でエロやヴァイオレンス描写を極力抑え、台詞でも多くを語らない手法が秀逸。内面が良識的な「いい人」達も容赦なくぶった斬ってくるので、とってもしんどいけれども。

 

『竜とそばかすの姫』
 最終的に現実世界での事態の収拾が全くついてないのを筆頭に、腑に落ちない部分が多すぎる。自己肯定万歳な思想も個人的に相容れないし正直、歌にもピンときてない。にも関わらず全然あくびは出なかった。『美女と野獣』をモチーフにそこかしこで炸裂する細田守監督の作家性。明らかに過積載で説明不足で不自然な設定だが、そこが見所。

 

『イン・ザ・ハイツ』
 トニー賞4冠のヒスパニック系移民たちの青春ミュージカル劇場版。家賃高騰で界隈がピンチだの人種差別だの不法移民だのお話に新鮮味はないし、移民の想いを本当の意味で理解するのは難しい。ラップが多く歌の情報量を字幕では処理しきれないのも難だ。でもラテン・ポップやサルサの大集団ダンスのお祭りムードは観ていて飽きない。

 

『ベイビーわるきゅーれ』
 アクション好き方面で評判の超低予算日本映画。凄腕の女子高生殺し屋コンビが卒業と共に「表の顔」を失い、社会人として普通のバイトに悪戦苦闘するシュールなハード・バイオレンス・コメディ。ルームシェアする二人のダラダラな日常がちょっと長く感じたが、ブラックな笑いは概ね良好で、体術を駆使した格闘の見事さに惚れ惚れする。


『サマーフィルムにのって』
 時代劇製作に明け暮れる女子高生の恋と友情と出会いと別れの青春映画。映画愛やSF要素にツッコミ所は多く破壊力満載のラストにも賛否分かれそうだが、とにかく瑞々しく甘酸っぱい点では文句なしだった。大河の二代目鎌倉殿とまごころパンダの先輩さんぐらいしか知った顔がいないが、全員キャラ立ちが素晴らしい。

 

『フリー・ガイ』
 架空キャラが自我に目覚める的な話だが、主人公は犯罪や暴力を楽しむオープン・ワールドのゲーム内で酷い目に遭う役割のモブキャラ。海外ドラマ『ウエストワールド』に似た設定だが、こちらは底抜けに明るくコミカル。ゲーム関連の小ネタは全然分からないが笑えた。現実世界との絡みもよく練られ、倫理的に正しい方向へ導かれていくのが爽快。

 

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』
 ハーレイ・クインという珠玉のキャラを除き全部ゴミだった第一作から監督を変え、邪悪で暴力的でブラックな笑いが激辛大盛りに。馬鹿馬鹿しさに溢れる魅力的な悪人達、グロいけど緻密に練られたアクション演出、ふざけてるが筋の通った痛快ストーリーと、使い捨てな犯罪者特殊部隊による決死のミッションという設定にふさわしい内容に建て直されてて快哉を叫ぶ。DCコミックスに無知でも、前作の話を全く思い出せなくても問題ない作りなのもありがたい。

 

『ドライブ・マイ・カー』
 村上春樹の名前を借りた別の何か。シンプルな短編に色々くっつけたり崩したりしての再構築に感心するやら呆れるやら。原作でちらっと言及されたに過ぎない『ヴァーニャ伯父』の舞台稽古シーンで過半を占める3時間の長尺。独特の無感情な演出や不自然な設定変更も目立ちコレジャナイ感は強いが、意外に退屈はしなかった。二度は観ないが。

 

孤狼の血 LEVEL2』
 前作を強力に牽引した役所広司が抜け心配な続編。しかし、鈴木亮平の兇悪ぶりが見事に穴を埋める。東映ヤクザ映画の流れをくむ脇役たちの群像劇は健在だが、ジャンルはシリアルキラーものに大変身していた。ストーリー自体は終盤がイマイチで面白味に欠けるが、とにかく殺伐とした暴力描写が二重丸。

 

『鳩の撃退法』
 主人公が書いた小説と現実が入り混じった巻き込まれ型サスペンス。劇中の土屋太鳳と同じく続きに興味をそそられたが、終わってみると豪華キャスト無駄遣いで物足りない。事実と比定される出来事は枝葉ばかりで、根幹となる失踪家族の事情や偽札の動きが真相に近いという保証は全くないため、オチがめちゃめちゃ弱い。悪いのは原作か、脚本か。

 

『オールド』
 時間の流れが異様に速いビーチに閉じ込められて・・・っていうアイデア一発で贈るM・ナイト・シャマラン監督作品。いつも通り話のネタとしては面白いが、ツッコミどころが多すぎる割に数多のハプニングはあまり盛り上がらず。でも、こんな話に収拾を付けて見せたのは流石だと思った。


『アナザーラウンド』
 高校教師の中年4人組が「ほろ酔いで仕事効率アップ」という危うい理論を実践するオスカー受賞のデンマーク映画。仕事も家庭も行き詰まり、ちょっと酒の力を借りるつもりが、やがて一線を超えて・・・ってな話だが、バイキングの国の飲酒感覚が別物すぎて初手から既に危険水域にしか見えず、着地点も理解しがたいものだったが退屈はしなかった。

 

『マスカレード・ナイト』
 同じ土俵での再タッグなので縮小再生産感は否めないが、怪しい客たちに翻弄されながら楽しむエンタメとしては手堅い二作目。テンポが良く最後まで飽きさせない造りは流石。けど、終盤で犯人が語る真相が謎解きものとしては無理矢理過ぎるので印象は悪い。あと、個人的にはホテルのお仕事要素が薄まったのが残念。

 

『空白』
 万引きを疑われ逃走中に事故死した少女を巡り、闇雲に冤罪やいじめを主張する横暴な父親と事故に関わり負い目を背負う店長と運転手、無責任に煽るメディアと巻き込まれる従業員や家族。善悪併せ持つ人間をシニカルに描く事に定評の吉田恵輔監督だけに見応えあった。哀しくていたたまれない話だが、最後に光みたいな意表を突く伏線回収が巧い。

観た映画(2021年4~6月公開)

『21ブリッジ』
 『ブラックパンサー』主演チャドウィック・ボーズマンの遺作となった、マンハッタン島にかかる21の橋を封鎖しての逃走・追跡劇。70年代の刑事アクションを彷彿するハードボイルドな作品で、かなり先が読める話ではあるが手堅く面白かった。21の橋は殆ど話に絡んでこないけれども。

 

『BLUE/ブルー』
 凄く弱いけれどボクシングへの情熱は人一倍の男、才能はあるがダメージの蓄積がそれを上回る男、モテたい動機で形だけ習うつもりが徐々に嵌まる男。努力や代償に見合う結果を得られるのは一握りの世界で、大多数側にいるボクサー達の群像劇がよく出来てた。人間味溢れるキャラ造形が素晴らしく、地味だが嘘っぽく無いボクシング描写も素敵。

 

るろうに剣心 最終章 The Final』
 4作目で所謂「人誅編」。立体的なアクションがてんこ盛りで、演者さん超頑張ってて格好いい殺陣を存分に堪能できる。だが話の出来は悪い。原因は復讐劇の核心部分が次作ってことで結末に説得力が無いため。時代設定が違う次作じゃ出番無しな都合で、事情も知らんまま参戦し見せ場を終えたら本筋に絡まないキャラばかり。

 

『ファーザー』
 アンソニー・ホプキンスが最高。昔っから凄かったけど齢八十を超えて更に磨きがかかってる。予想外の受賞とか言われてたけど二度目のオスカーも納得。幻想の扱い方が非常に巧みな脚本にも唸らされた。ただ、認知症を体感させる本作は、この素晴らしい演技に見惚れて無ければ耐えられないぐらいキツかった。介護する側として結構傷ついた経験もあるし、自分が自分でなくなる恐怖もリアルに感じてしまう年齢なので。

 

アメリカン・ユートピア
 スパイク・リー監督の映画のつもりで観たら丸々デヴィッド・バーンのライブでびっくり。トーキング・ヘッズ時代の数曲しか知らん人だけど、凄い演出の連発で飽きなかった。電子楽器はケーブル無しでマーチングバンドな打楽器構成。ダンサー二人を含む十二名が繰り広げる照明と見事にシンクロした縦横無尽のフォーメーション。ちゃんと生演奏って解るくだりがあるのも良い。映画作品としてはどうなのかと思うけども。

 

るろうに剣心 最終章 The Beginning』
 幕末の人斬り時代に遡った所謂「追憶編」。「不殺」設定解除でバッサバッサと斬りまくるアクションは緊張感が半端ない。話の都合上「血の雨」が必須だが、残虐になり過ぎず美しく描く工夫が成されている。物話の重みも纏まりも過去4作の微妙な再構築とは段違い。巴さんは寺で丁重に弔ってもらうのが筋だとは思うが。

 

『映画大好きポンポさん』
 ハリウッド風の映画製作現場をモチーフにした日本のアニメ。ポップな絵柄ながら恋愛や萌え要素は皆無で、目の死んだ男の夢と狂気の業界成長モノ。苦渋の映像カットにスポットをあてるドラマ展開のため、本編自体も90分の尺と説得力のある編集を求められる難題を見事にクリアしてみせた。カットとカットのつなぎに色々工夫してあったり、2回目観るのも映画好き的には超楽しい。

 

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
 原作は読んでるが結末以外はほぼ忘却の彼方。予定では三部作らしい。『逆襲のシャア』から繋がる話という雰囲気は良く出てる。リアルな戦闘シーンで人間ドラマも大人向け。人物や背景説明が異様に簡素なのは富野由悠季の特徴なので仕方ない。けど、「これで終わり?」な構成と、あまりにも暗くて見えなすぎる中盤以降の夜戦描写はマイナス。

 

『キャラクター』
 セカオワFukaseのサイコ野郎ぶりが話題のサスペンス。確かに俳優陣の演技に文句は無い。だが、脚本が酷い。漫画にシンクロして兇悪事件が繰り返される掴みは良いが、後半のアイデアは月並みで恐怖感に乏しい。ディテールも雑過ぎて「なぜ?」の嵐。

 

ザ・ファブル 殺さない殺し屋』
 アクションは前作よりも迫力が増し見やすくなり、ちゃんと岡田准一が自分で演じてるのが判るシーンも多い。木村文乃の見せ場も印象的で、堤真一の怪演ぶりも楽しかった。一味が明らかに雑魚なのに中盤戦闘のスケールが無駄に大きく最後は妙にこぢんまりという按配や、お話に色々と消化不良な部分も散見するが、大筋は面白かった。

 

夏への扉 ―キミのいる未来へ―』
 ハインラインの古典SFを何故か今、日本で実写化。地雷案件と覚悟して臨んだけど予想よりはずっと良かった。ちょっと違う歴史を歩んでる日本が舞台とか、原作の無理矢理な所のアレンジとか。ただ、それはアップデートって視点からであっって、映画単体としてはバレバレの展開とご都合主義だらけ。

観た映画(2021年1~3月公開)

『新感染半島 ファイナル・ステージ』
 韓国ゾンビパニックの続編だが、前作と同じ監督とは思えないほど別物だった。平野美宇っぽい娘のドリフトでゾンビをなぎ倒すのは痛快だが、期待したのはコレジャナイ。人間ドラマ、特に主人公のキャラが希薄すぎる。日本映画と見紛う冗長な終盤も印象悪い。

 

『Swallow/スワロウ』
 スリラー映画かと思って観たらリアルにメンヘラな話だった。妊娠とストレスで異食症を患うヒロインに感情移入するのが正しいのだろうが、悪気無くストレスを与えてる夫や義父母の側を単純に無神経とも思えずキツかった。どうすれば正解なのか?

 

『KCIA 南山の部長たち』
 朴大統領暗殺事件を基に、側近中の側近が何故凶行に奔ったのかを描く政治フィクション。当時の軍事政権がさっさと処刑しちゃって動機は迷宮入りらしい。「人権外交」のカーター政権が槍玉に挙げてたぐらいしか背景を知らず、権力闘争の構図も理解しきれなかったが、マフィア同然の大統領府で忠誠争いの幼稚な衝突とか韓国らしくて楽しかった。

 

『花束みたいな恋をした』
 同じ趣味嗜好の最高の相手と恋に落ち同棲、生活に追われる中で価値観が違っていく。昔っからドラマや歌詞で取り上げられてきたテーマを菅田将暉×有村架純で令和の若者に贈る。お手本みたいに、素敵な出会いと積もるわだかまりと爽やかな別れが描かれてて感心。ただ、劇中のサブカル的アレコレの殆どを名前すら聞いたこと無くてビックリした。


『哀愁しんでれら』
 社会を震撼させる凶悪事件を起こす女の話と宣伝されてる割に事件はなかなか起こらない。そこに至るまでの流れもリアリティに欠ける部分が目立ちすぎる。褒め言葉としての「作り手の性格の悪さ」が随所にちりばめられてるのに、丁寧さに欠けブラックなオチに収束しきれないもどかしさを感じた。

 

『すばらしき世界』
 佐木隆三の約30年前の犯罪ルポ『身分帳』を西川美和監督が暴対法のある現代に落とし込んだ、刑期を終えた元ヤクザの社会復帰奮闘記。愛おしさと暴力性が同居する役所広司の凄味に圧倒された。登場人物の殆どが善意で接してくれて、主人公も応えようと懸命に努力して、それでも直情型の性格が災いし挫折を繰り返す。元受刑者に不寛容な日本社会を描くだけで無く、迎合すべき場所なのかまで問う終盤の容赦ない展開に唸らされた。

 

『あのこは貴族』
 日本の良家のお嬢さんやら地方の娘さんは、型に嵌まった人生や家父長的な構造を求められがちで悩ましいという女性映画。劇中で云うように「女同士を分断する必要はない」というスタンスが特徴的だった。上流階級にもエグゼクティブにも出会う事ない階層の都民としては忸怩たる想いを抱えつつ、色々と腑に落ちてエールを送る気分に。


『太陽は動かない』
 原作・吉田修一のスパイアクション。定期連絡しないと爆死というバカっぽい設定は作者の責任だが、そもそも作劇が下手すぎて苛々する。本筋よりも枝葉に注力し話が頭に入らず、盛り上げるべき所でアクション無し。救出対象の描写不足でスリル感も皆無。

 

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』
 数多の謎や伏線っぽいあれこれを放り出し、それらしいワードを並べて誤魔化した感も多々あれど、四半世紀に渡る物語が一応の大団円に漕ぎ着けたことは感慨深い。ぶっちゃけ無駄に性的でキモい描写に溢れ、強引に次ぐ強引な展開の割に意外と普通な着地点なわけだが、『ボイジャー』が流れてきて全てを持って行った。

 

トムとジェリー
 なぜ欧米人はアニメと実写を融合させたがるのかとぼやきつつも、主役がクロエ・グレース・モレッツで久々にコミカルでキュートな役柄とくれば観ざるを得ない。ドタバタと追いかけっこし破壊を繰り広げるキャラ達と実写との絡みは割と上手くいっていて、トムとジェリーは無言で正解。ただ、ストーリーはかなり薄っぺらくてご都合主義。

 

『騙し絵の牙』
 豪華キャストのエンタメ映画として面白かった。ただ、宣伝や表題が想起させるコン・ゲームな感じじゃなくて、主導権争いの駆け引きがメイン。大泉洋に当て書きされた原作という触れ込みだが実質の主役は松岡茉優だったし。無理矢理な部分や使い捨てキャラが散見してて巧い脚本とは言い難いが、テンポよく進めて誤魔化す力技が素晴らしい。

 

『映画 モンスターハンター
 このゲームのことよく知らないが、それでも伝わるコレジャナイ感。怪獣が現代兵器を屠るシーンばかりで、ファンタジックな白兵戦で巨大モンスターを狩る話には全然なってない。久しぶりにムエタイ超人トニー・ジャーのアクションを堪能できて楽しかったが。

 

ノマドランド』
 現代アメリカ事情として興味深いが、色々と疑問符。年金で老後を賄えず車上生活しながら転々と季節労働って所までは理解出来るが、社会構造を批判するでも無くポジティヴに大自然の中を自由に旅するって方向で纏まるのがなんとも。ヒッピー世代だからか?しかも、黒人貧困層は彼らよりも過酷な環境に置かれてるっぽいのが悩ましい。

観た映画(2020年10~12月公開)

『浅田家!』
 写真家・浅田政志の写真集をモチーフにした「家族」の映画。前半はコスプレして家族写真を撮る変わった一家の魅力的な姿を楽しませ、後半で東日本大震災での写真洗浄ボランティアというシリアス路線に転じつつ、コミカル調も崩さず家族写真を撮る意義を爽やかに纏めた。劇中の家族写真がホームページで観られる実際の写真集と瓜二つで笑う。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
 原作未読、『立志編』は観たが何がウケてるのかピンとこず。本作も普通に面白かったとは思うが、社会現象になるほどの魅力はよくわからない。絵が綺麗だとか技の数々が超カッコイイとか台詞回しが独創的とか、つまり、煉獄さんが格別の人気キャラなのは理解出来るが・・・。

『スパイの妻<劇場版>』
 銀獅子賞受賞作。黒沢清監督らしさ全開の、人間に潜む狂気と相互不理解を突きつけるミステリー。上っ面は必然性の無い行動だらけで微妙な内容だが、それぞれの行動原理に照らすとなかなかどうしてよく練られた脚本。夫婦二人の複雑で正気の沙汰じゃない愛の形が面白かった。なお、ドラマ版は画面サイズと色調が違うだけで内容は全く同じらしい。

『朝が来る』
 特別養子縁組の葛藤や親子のあり方を描く社会派サスペンス。望んでも得られない者と手放さざるを得ない者の人間ドラマが丁寧に描かれ胸に突き刺さる。実親との親権が断絶する日本のシステムと『ジュノ』とかで知る米国のそれとの隔たりなど、色々と考えさせられた。ただ、妊娠させた男にも心に射した影はあるだろうに棚上げなのは残念。

『罪の声』
 「グリコ・森永事件」をモチーフとした未解決事件を、脅迫電話に声を使われた子供達に焦点を当てて追う。30年以上前のお宮入り案件があれよあれよと炙り出される展開は失笑ものだが、なかなかに説得力のある事件の全貌と巻き込まれた者の葛藤は見応えあり。「キツネ目の男」が良い感じに再現されてた。

ばるぼら
 原作は手塚治虫が低迷期に描いたエロチック奇譚。70年代前半の退廃的で狂気なアートの世界の雰囲気が巧く再現されている。だが、設定は現代なので違和感は否めず、原作を知らないとかなり意味不明のため、下手すると二階堂ふみの裸を拝むだけになる。

『燃ゆる女の肖像』
 18世紀のフランスを舞台に、望まない結婚を控える令嬢と、その肖像画を依頼された女性画家が次第に惹かれ合うレズビアンもの。男たちはモブキャラでほぼ女性のみで作劇されてるのが興味深かった。道ならぬ恋はひたすら静かに淡々と描かれ、その先で伏線回収が巧みなエンディングに至り唸らされた。メイドを加えた3人の親密な時間も印象的。

『新解釈・三國志
 三国志についてそこそこ素養もあり福田雄一監督の作風も嫌いではないが、これは厳しかった。ぼやきまくる劉備、かる~いノリの孔明などのキャラ設定は面白そうなのに、それで様々な逸話を成立させるアイデアが乏しすぎる。ギャグも大抵ぐだぐだで笑えない。

ワンダーウーマン 1984
 シリーズ2作目。相変わらずガル・ガドットの役作りは素晴らしいが、「願い」と「代償」の話は生煮えで燃え要素が薄く、アクションも少な目と、スーパーヒーロー物としての出来は微妙。唐突に登場するチーターの雑な扱いも気になった。クリス・パインとのラブロマンス部分は悪くないのだが。

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』
 アクション・スターなイメージのキアヌ・リーブスが、出世作とはいえ「おバカ」役コメディの29年ぶり第三作に出演する英断。ノリと勢いで対処するアホなおっさんたちには笑いより痛々しさが勝るものの、クライマックスは音楽の力でハッピーな気分に。よく見たら死神が5弦ベースでクール。二人娘のパートにはもっと尺を割いて欲しかった。

観た映画(2020年4~9月公開)

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
『続・若草物語』の途中から始まり、過去と現在を行きつ戻りつする脚色がややこしくも面白い。適齢期を迎えた四姉妹の話に必要な分だけ少女時代のエピソードを挿入することで高密度化を実現している。四人の個性を示す衣装の数々も楽しかった。ただ、キャストの実年齢が高目なので、七年前の四女は未だ十二歳だとか絵面で理解するのは厳しい。

『はちどり』
 90年代コリアン女子の中学生日記。いつの時代もどこでもある思春期の壊れやすい人間関係に加え、韓国社会特有の極端な男尊女卑&上下関係&学歴主義な中での疎外感を繊細に描く。ちょこちょこ入る劇中歌の意味とか色々とピンとこないで戸惑うシーンが多かった。世界的に絶賛されてる部分を半分も理解出来て無い気がするが退屈はしなかった。

ランボー ラスト・ブラッド
 齢七十を過ぎて、まさかの5作目。舞台が戦場じゃなく敵も軍隊じゃないのに、2作目以降の「盛大に殺しまくるランボー」をやった結果、戦争で心に傷を追った悲しい男は完全に罪を問われる側の異常殺戮者に。これでいいのかスタローン。メキシコ・パートのあちこちにもっと肉付けされてた痕跡を残す雑編集が安っぽい。

『透明人間』
 透明人間にネチネチと嫌がらせされて孤立するというアイデアは秀逸で、ストーリーは良く練られ伏線も丁寧に回収してる。だが、追い込まれるスリルを味わう上で、事態収拾不能レベルの展開が中盤に来るのがバランス悪く、後半がやや弱くなったと感じた。

『悪人伝』
 暴力刑事とヤクザのボスが手を組んで連続殺人鬼を追う韓国ノワール。この設定で実話ベースってのが謎だが、アクションありカーチェイスありバイオレンス描写も盛りだくさんでオチも痛快。タフで強くて兇悪で男気溢れる組長のおっさんに比べ、刑事の魅力がやや落ちるのがバディものとしては残念だが。

今日から俺は!! 劇場版』
 ドラマ版キャストもそうだが、新キャラも役作りが素晴らしい。時折挟まる福田雄一監督の独自ギャグがダダ滑りだが原作寄りの部分は面白かった。ただ、敵番長組がズタボロになってから連戦で主役コンビと闘うって展開が奇妙。そもそも、アクションで一番目立ってるのが清野菜名って時点でおかしいが。

『アルプススタンドのはしの方』
 義理で適当に応援する生徒達の不完全燃焼な高校生活のモヤモヤが、表舞台にいる野球部に刺激され昇華する青春群像。やや演劇的すぎるものの、グラウンドを一切映さず野球に疎い女子ーズのトーク中心で試合を描写したりで面白かった。原作の4人舞台劇の出来が良すぎるのか、映画的に広げたっぽい要素が露骨に浮いてるのが残念。

『海辺の映画館 キネマの玉手箱』
 大林宣彦監督の遺作となってなければスルーした3時間大作。異界過ぎて理解が追いつかない作劇、過剰な情報量、炸裂する反戦思想。まさに大林無双。その歴史観や危機感には同意しかねるが、集大成と言われれば「お疲れ様でした」と頭を下げるしかない。

ぐらんぶる
 主演二人が大半のシーンでパンイチかフルチンという、完全にどうかしている青春コメディ。冒頭の全裸ループが強烈過ぎて後半は失速気味だが、大学ダイビングサークルの悪ノリをくだらない方向に振り切れて描いており、そこそこ面白かった。野郎の肌ばかりで精神的に堪えたけど。

『糸』
 贅沢に揃えた主演級俳優陣と中島みゆきの歌の力で成り立ってるが、二つの物語が織りなす布は上出来とは言えず惜しい作品。切れたりほつれたりした糸を紡ぐ話なのに、ヒロインが出逢いと別れで紡いだ糸が全然見えない。親切な知人レベルの主人公が紡いだ糸を認識する機会も無い。双方が「逢うべき糸」と悟り結ばれる理由がさっぱり解らない。

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
 カーストの垣根を超えて交流して理解し合うファンキーでお下品なアメリカ学園コメディ。よくあるネタだが、主役がナード女子二人組なのが新しい。文化的にも世代的にもギャグについていくのは厳しかったが、今どきの多様性を認め合う風潮とかポジティヴなメッセージの詰まった青春映画だった。

『ブルータル・ジャスティス』
 メル・ギブソン主演のバディもの刑事アクションだが『リーサル・ウェポン』とは大違いのハード・バイオレンス。なにか前時代的な空気感漂う渋いドラマの端々で人々がサクッと殺される非情な世界の緊張感が堪らない。しかし、ジャスティスなんて欠片も無い話なんだが、何故にこの邦題?

『ミッドウェイ』(2019)
 天下分け目のミッドウェイ海戦をエメリッヒ監督で描くと言うからアメリカ万歳映画かと思えば意外にフェア意識が高い。『インデペンデンス・デイ』的な盛り上がりには欠けるが、諜報戦の巧拙や航空機動部隊運用の妙など丁寧で解りやすい戦記物となっていた。ただ、群像劇としては出来が悪く、工夫無く史実の英雄譚をつぎはぎした感が強い。

『TENET テネット』
 時間逆行設定に理解が追いつかず何が起きてるのかはサッパリなのに、クリストファー・ノーラン監督の奇抜な発想とCGキャンセルな映像の物凄さに圧倒された。鑑賞後にじっくりとSF解釈やタイムラインを咀嚼して大筋に合点が行くと、物語構造が難解と言うより単に脚本が杜撰で不親切なだけの部分が多いという結論になったが。

『ミッドナイトスワン』
 トランスジェンダー女性を演じた草彅剛が話題だが、オリジナル脚本を書いた内田英治監督の手腕も素晴らしい。性的マイノリティへの偏見や差別や無理解を描くだけで無く、育児放棄され愛を知らない自傷癖のバレエ少女と絡め、やがて孤独な二つの心が寄り添って・・・と思ったら一筋縄では終わらない。実に興味深かった。ただ、金持ち同級生の顛末が反映されない点は勿体ない。

観た映画(2020年2~3月公開)

『37セカンズ』
 脳性麻痺の車椅子女子の話という事でお涙頂戴を想像して敬遠してたのだが、中身は過保護な母親から自立して大人として色々経験したい女の子の冒険映画で超面白かった。身障者とか以前に若い娘としても危うい行動が多いので始終ハラハラドキドキだし、物語は予想だにしない方向に転がっていくし。親切すぎる人達や肥大化する旅路に違和感はあるが、細かい事に目を瞑らせるパワーがある。

ヲタクに恋は難しい
 ヲタ用語やらヲタ界隈の小ネタ知識がさっぱりでも福田雄一作品が好きなら愉しめるが、このノリがダメな人には拷問レベルだと思う。役者さん個々のギャグは面白いけど脚本の纏まりが非常に悪い。特に、長い割に効果が小さいミュージカルでドラマの流れをぶった切るのが難。歌って踊りまくる高畑充希は圧巻だけれども。

『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』
 70年代の西ドイツに実在した連続殺人犯が題材。冒頭から死体が転がって解体開始という酷い内容なのだが、意外にブラックユーモアが強め。主人公は完膚なきまでクソ野郎なのだが犯行は拍子抜けするほど杜撰で、被害者から周辺人物までダメ人間しか出てこない。サスペンスも人間ドラマも無く、ただ狂気と混沌の異世界に紛れ込んだ感覚。

『1917 命をかけた伝令』
 塹壕戦が繰り広げられる中を伝令に奔る英軍兵士をワンカット風の映像で見せるカメラワークの妙技堪能映画。映像は新鮮だが物語自体は普通。何気に英国系TVドラマで見かける俳優が次々と出てくるのが楽しい。因みに、第一次世界大戦における西部戦線の顛末についてはこの映画じゃ全くわからない。

『スウィング・キッズ』(2018)
 朝鮮戦争下の捕虜収容所が舞台のダンス・ムービー。米兵と捕虜との明るく楽しい交流とハイレベルなタップの応酬にグイグイ引き込まれる。しかし、普通に心暖まる話に纏まらないから韓国映画は油断できない。韓国人なら当然知ってるだろう歴史的事実や共産主義者と反共が対峙する複雑な収容所事情に疎い事もプラスに働き、後半の展開にガツンとやられた。

『Red』
 夏帆×妻夫木聡の不倫モノ。結婚生活の不満部分はともかく、母親でもある主人公の行動に感情移入は難しく、過度に見せようとしない濡れ場には失笑。時々、柄本佑が話を盛り上げそうな雰囲気になるが、結局物語に全然絡んでこないのが謎。

『ミッドサマー』
 全米大ヒットの因習残るヤバい村ネタのホラーだが、特に怖くもないしサスペンス的な面白さもない。本作と『へレディタリー』を観て、アリ・アスター監督の作風は宗教くさいので今後は回避の方向でいいと確信した。

チャーリーズ・エンジェル(2019)
 キャスト一新で第三世代エンジェルたちの活躍を描く。無駄に目立つ変装と荒唐無稽なスパイグッズを駆使して美女が事件を解決する様は普通に楽しいのだが、シリーズ物としては違和感が強かった。アクションは緩く銃を撃ち、不殺が基本の割には結構死んでる。何よりバカっぽく弾けた部分が弱い。

『スキャンダル』(2019)
 トランプさんが大統領候補だった頃のセクハラMeToo運動の話。つい最近の話なのに、不名誉な扱いのキャラ含め実名がバンバン飛び交うのが凄い。実在の女性キャスターに寄せすぎてシャーリーズ・セロンニコール・キッドマンがほぼ別の顔になってるのも凄い。ただ、事実であるが故に展開が淡々としオチも中途半端でスッキリしないのが辛い。

『初恋』(2019)
 三池崇史監督らしからぬタイトルだが、中身は濃厚に三池節の効いたヴァイオレンス・コメディだった。追われる娘を助けて抗争に巻き込まれたボクサーの話だが、驚くほどに恋愛要素は薄めでPG-12が不思議なほどにスプラッタ。染谷将太大森南朋ポンコツぶりが超楽しく、ベッキーが最高にぶっ飛んでた。周りの人達が目立ちまくる中、ボクサー設定があまり活きず見せ場が少ない窪田正孝がちょっと不憫。

『Fukushima 50』
 後世に語り継ぐための映画の筈だが、あまりにも考証が蔑ろにされていて、知らない世代にはむしろ害悪。最前線で頑張ってくれた人達を讃えたいのなら、現場の事故対応をもっと丁寧に描くべき。最悪の事態をどう防ごうとしたのかが曖昧すぎる。

『ジュディ 虹の彼方に』
 『オズの魔法使』のドロシー役、ジュディ・ガーランドの伝記映画だが、扱われるのは最晩年の歌手活動で銀幕時代は希薄。レニー・ゼルウィガーの歌唱は素晴らしいが、破滅的生活の過程がカットされた結果、少女時代が不憫だったにしてもプロ意識低すぎに映るのが難。とはいえ、精神的にボロボロでステージをこなす姿と歌の力で泣かされる。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』
 基本的にマーゴット・ロビー演ずるハーレイ・クインが好きな人向けなので、どんなに話が薄っぺらくても邪悪でイカレた大立ち回りをキュートに繰り広げてればオールOKな筈なのだが、意外に残念感が強い。時系列シャッフルが流れをぶつ切りにしてたり、凄いアクションが大量でもカタルシスが無かったり。確かに楽しかったんだけどなぁ。