『スター・トレック イントゥ・ダークネス』、宣伝担当の華麗な敗北


 最初にこの記事を読んだときから「パラマウントも無茶言うが、担当者の面の皮も厚いなぁ・・・。」という感想だったが、蓋を開けてみれば初登場3位で翌週7位と順調に失速中。北米での大ヒットを他所にどうやら興収15億円強ってところで目標は大幅に未達の情勢だ。
 まあ、目標50億円ってのはブラフなんだろうけどね。興収100億円級のジブリとディズニーがロングランしてるのは確実で、『ワールド・ウォー Z 』『パシフィック・リム』『マン・オブ・スティール』と競合作品が目白押しな所にぶつけてどうやってそんなに稼ぐよ。ベネディクト・カンバーバッチにそんな集客力無いよ。挿入曲にきゃりーぱみゅぱみゅ起用ってのが効果あるとも思えんし、続編映画なのに公開直前に前作を地上波で放送しないってのも解せなかったし。


 そうは言っても、古くからのトレッキーであるオイラにとっては望外の大ヒットで「星野さん、グッジョブ!」なんだけどね。だって最初の劇場版以外は内容の出来不出来を問わず散々だったんだよ、日本では。3D料金で荒稼ぎした結果だろうが、「人類最大の弱点は愛だ」というキャッチコピーが詐欺に等しかろうが文句は言うまい。今回、ヒットの目安である興収10億円を楽勝でクリア出来たのは宣伝の力にほかならないのだから。大団円に泉谷の顔がちらついてしまうのは迷惑だったけど。



 さて、映画本編の感想も少し。アクションやストーリー展開は充分に面白かったし、登場人物たちの疾走がいちいち印象的な演出も美しかったと思うんだが、ちょっと脚本が詰め込みすぎ。もっと悪役ジョン・ハリソンの設定をシンプルにして「細けぇことはいいんだよ!!」で通した方が良かったと思う。無理に旧作と関連させたおかげで、新参の客がクライマックスに感動してる横で旧作ファンがニヤニヤしつつも「ってことはアレを使って・・・禁じ手だよな、それ。そもそもアイツ20世紀末の・・・。そんな凄い技術が何故失われ・・・。」とかゴチャゴチャ先読みで考えてる状況というのはどうなのか。前作と今回の序盤で壊滅的打撃を受け終盤にはろくに防空能力も無いことを露呈した地球の状況を考えると、クリンゴンにちょっかい出してる場合でも無いわけでこの辺の話も余計だ。