観た映画(2015年7〜9月公開)

 17作と多かったこともあり更新が空いた。今回は(2015版)と此方で勝手に付けなきゃ過去作と区別がつかない奴が3作もある。特に『HERO』はTVの方も全て副題無しでややこしい。

チャイルド44 森に消えた子供たち』
 原作が「このミス1位」って言う情報だけで観たんだけど、なんだこれ?舞台装置であるべき「楽園を建前とするスターリン時代の抑圧されたソ連」ばかりがフォーカスされ、山間部で何故か溺死し胃を摘出された子供達の連続殺人は謎のまま終わったんだが。

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
 関連作をフルコンプしてない事もあり色々と疑問符はあったが、『アイアンマン3』で普通の人間に戻った筈の社長が勝手に復帰してる時点で考えても無駄だと割り切った。それにしてもハルクとブラック・ウィドウが無理矢理くっつけられてるのには唖然。アクションはド派手で楽しかったけど、ヒーロー多すぎでもう何が何やら。

ターミネーター:新起動/ジェニシス
 シュワルツェネッガーの帰還を祝福する為のファンムービー。後半の新展開は続編ありき過ぎでつまらんが、過去作を踏まえたネタやシュワの笑顔ギャグで攻め、ツンデレ化したサラ・コナーに萌えるアクションコメディとして予想外に楽しかった。回を重ねるごとに扱いが酷くなるジョン・コナーには涙。

リアル鬼ごっこ』(2015版)
 原作無視の完全新作。女の子のゴア描写とパンチラがぎっしり詰まった園子温ワールド全開の作品。ホラー的には冒頭のバスのシーンが頂点で、後は必然性なく惨殺される女だけの世界を眺め、完全にどうかしてる作り手を笑う映画だった。トリンドル玲奈の戸惑い演技が意外に良い。

『HERO』(2015版)
 TVの新シリーズは観てないのだが、前回の映画であんなキスシーンやっといて、その後ずっと会ってないってのにはビックリ。恋愛面もそうだが検事としてもアラフォーであの設定を引っ張るのは痛すぎる。大使館の事件の方も話は微妙だった。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
 基本設定だけ借りときゃ良いのに半端に寄せたばかりに原作ファンが発狂した訳だけど、前編だけなら世間で言われるほど酷くはない。樋口真嗣のキャラ演出力には難があるし、常に索敵が機能しないなど兵団描写の緩さも気になるけど、怪獣パニック映画としては及第点。ただ、後編が観たくなるような仕掛けが弱いのが問題。

ジュラシック・ワールド
 大スクリーンで観てこそのアトラクション映画で、恐竜達の暴れ回る様は3D感が素晴らしく迫力満点。反比例するように人間ドラマは壊滅的だけども。でも旧作のオマージュ多めなのは嬉しい。ラストはあまりにも『三大怪獣 地球最大の決戦』な展開だが、遅れて来た真の主役の活躍に胸が熱くなる。モササウルスがでかすぎるのは気にするな。

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
 ジャッキー・チェン化が著しいと噂のトム・クルーズを笑うつもりで観たけれど、「そこまでやらんでも!」なサービス精神満載の全力アクションにすっかり魅了されてしまった。レベッカ・ファーガソン扮する謎の女も七変化ぶりが麗しく、飛び関節の流れるような動きが素晴らしい。『スパイ大作戦』らしくラストで溜飲が下がる物語もグッド。

『日本のいちばん長い日』(2015版)
 継戦困難となった鈴木貫太郎内閣の歴史背景をレクチャーしてくれるのは親切だが、尺の半分以上使ってもメインディッシュの「いちばん長い日」に辿り着かないんじゃ本末転倒。この表題じゃ無ければ、降伏に導いた人達の伝記として結構本格派だけど。

ナイトクローラー
 序盤はやや怠かったが話が進むに連れ成り上がるゲス野郎の魅力にどんどん引き込まれた。サイコパスの容赦ないクズ行為に不快感を覚えつつも、口が達者で意識高い系な「村西とおる」っぷりが可笑しい。しかし、血まみれ衝撃映像を狙う特ダネ動画マンなんて仕事がリアルに成立してしまう合衆国の日常は怖いな。

『映画 みんな!エスパーだよ!
 監督・園子温ってだけで予備知識なしに観たが、連ドラ絡みにしちゃ異様にエロ方面に貪欲で驚いた。下ネタで笑わせ巨乳オールスターズでたっぷり目の保養ってのが主で、合間に挟まる本筋は途中からエスパー能力関係なかったりと超手抜きグダグダ脚本。完全にグラビア好き向け。

キングスマン
 突き抜けてバカで面白かった。劇中の会話にあるように、今風のシリアスなスパイ映画ではなく現実離れ上等ってスタンスで作られてて、秘密兵器を駆使したスタイリッシュで楽しげな大殺戮とか、シニカルでブラックな笑いとかが惜しみなく披露される。そんな露悪的な作品だが、スゴ腕の師匠にスカウトされた若者が採用試験をサバイバルしたりするので成長モノ・師弟モノとしてもグッとくる。スウェーデン王室には失礼過ぎるけど。

『天空の蜂』
 原発テロという素材の良さを活かせずに並の料理になった印象。だが、バカ映画としてはツッコミどころが満載で楽しかった。ヤバすぎるヘリのセキュリティ、政府・警察・自衛隊の説得力無い対応、無理に無理を重ねる救出劇、実は一切役に立ってない主人公。実行犯判明を皮切りに爆発・カーアクション・バトルと拍車のかかる無駄演出も素晴らしい。

カリフォルニア・ダウン
 震災シーンの絵作りが物凄いので飽きないが、教授の地震予知も主役父娘の防災知識も活かされない偶然ラッシュの確変継続に苦笑。周囲の人と別行動とし、死に直面させる事を避けた妙に淡泊な展開も不満。まあ、初手から高層ビル崩壊レベルだと、何処に避難すべきか、そもそも避難可能なのか謎だがな。

ピクセル
 一芸ボンクラ活躍系ありがちコメディ。あのゲーム達にストライクな世代的には漂う空気感が懐かしく、ギャグもそこそこ楽しめた。ドット絵のエンドロールも素敵。しかし、コレじゃない感も強い。かつての天才ゲーマーと関係ない攻略法にしてどうするのか。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』
 明らかとなる設定の数々やガンダム的三つ巴の様相からして元の脚本はこの尺じゃ畳めない大風呂敷だったと推測。それを大胆にカットしたら、辻褄合わず伏線拾えず誰が壁を塞ぎたくて誰が壊したいのかすら整理出来てないという無様なことに。映画2本分の予算は殆ど前編で使い切ったらしく、特撮少なめで普通の巨人がモブキャラ同然なのも酷い。

アントマン
 もっとコメディ寄りかと思ったら、意外に真っ当な駄目パパ更正モノだった。拡大縮小アクションやアリ軍団の見せ方が巧く、格好良くも程良くコミカル。ただ、『アベンジャーズ』関連ネタがこの緩く小ぢんまりな世界観と合わないのでかなり邪魔臭い。あと、ヒーロー物なのにキャストの実年齢が全体にかなり高目なのは謎。