観た映画(2015年10〜12月公開)

 今年もぎりぎりで要チェックと思った昨年公開映画を見終える。今回は13作と少な目。

バクマン。
 原作全然知らないけど、たぶん設定をかなり削って展開を物凄く速くしてて、少年ジャンプ的漫画家青春譜が綺麗に纏まってる。クオリティの高い原稿にCGバトルの演出や凝ったエンドクレジットも素晴らしい。ヒロインの絵もそっくりで、作者サイドの全面協力に頭が下がる。漫画製作におけるツッコミ所の多さもこの作品では逆に魅力。

『パパが遺した物語』
 先ず、邦題でネタバレする配給会社は許しがたい。あと、父親の小説がトラウマ克服に繋がるっぽいミスリードな予告編も非道い。子役の可愛いさと挿入歌『Close To You』の力で感動的な雰囲気を醸すけど、それよりもメンヘラ女が「愛する人を失う恐怖」と向き合うネガティブなお話のストレスが勝る。

ピッチ・パーフェクト2』
 世界的に大ヒットしたのは本作の方なのだが、恋もチームワークも王道パターンはほぼ前作でやり尽くした感があり、退屈はしないがドラマ的にはあまり盛り上がらない。ギャグも冒頭の一発は強烈だけど次第に尻すぼみとなる。だけど、歌パートのパフォーマンスは文句なしの見応え。

マイ・インターン
 アラサーの敏腕女社長に降って湧いた七十歳の部下って設定はあまり活かされないが、仕事に家庭に色々と悩む女性を適切な助言で老紳士が優しく支えるデトックス系コメディとしては良い雰囲気。その健全で誠実なジジイがよりによってデ・ニーロってのも笑える。アン・ハサウェイの色々なファッションも楽しい。

ギャラクシー街道
 長年培われてきた三谷幸喜ブランドの信頼を大きく損なう事故物件。一般ウケ不可能な古典SFネタも結構あるが知ってても笑えない。えっと、『真田丸』は面白かったです。

『エベレスト 3D』
 過去に映画化もされた有名な大量遭難事故なので、3D映像でも強調しなきゃ売りが無いのは解るが、3Dが後半の荒天描写には役立たずで金返せ感は強い。ガイド&参加者のスキル不足や梯子渋滞など商業登山の弊害はよく整理されてる。取って付けたような奇跡的救助は実話だから仕方ない。

グラスホッパー
 融合しない二つの物語。ミスリード一切無しの演出。やたら挟まれ緊張感を削ぐ回想。最後に明かされる無理筋の真実。クライマックスで主人公と全く接点のない殺し屋二人がバトルを繰り広げるのも斬新すぎる。

コードネーム U.N.C.L.E.
 海外ドラマ『0011ナポレオン・ソロ』は題名ぐらいしか知らないのにとても懐かしい気分にさせられた。お洒落な絵面にチープなスパイアクションにユーモアのセンスも間違いなく60年代アメリカTVのテイスト。バディ・ムービーとして地味に面白くヒロインも可愛い。続編を期待してるが世界的に大コケだったみたいで・・・。

『ムーン・ウォーカーズ』
 「これを何故フランス・ベルギー合作で?」と思ったけど、月面着陸映像捏造説を広めたのは仏のTVの四月馬鹿だったっけ。コメディとしてはハズレだったけども、キューブリック関連の小ネタや当時のヒッピー文化的雰囲気の再現は良い感じだった。

『007 スペクター』
 ダニエル・クレイグ版3作と話が繋がりまくりでそんなの覚えてない状態だったが、ドラマなんか無視してもOKな作品であり、やってることが凄すぎるアクションとか出番多めのボンドガールとか過去作オマージュとか愉快な見所は多かった。けど、ハード路線から急にバカっぽくなる砂漠のアジト以降の失速が酷くて、残念な印象が勝る。

杉原千畝 スギハラチウネ』
 あまり知らない東洋のシンドラーの業績を改めて学ぶには便利だった。淡々と真面目に人権・博愛な伝記映画かと思ったら意外にスパイ映画風味あり。けど、悲しいかな邦画の予算規模。見た目が洋画っぽいだけに映像のチープさは強調される。脚本もエピソードの羅列が酷くスリルとサスペンスが盛り上がらない。

スター・ウォーズ/フォースの覚醒
 これ程までに徹底してエピソード4の焼き直しで攻めるとは予想外だったが、只の懐古趣味では無く新しい世代でも存分に楽しめる作りになってる。新主人公たちがそれぞれに魅惑的だし、CGに頼り過ぎない造形もグッド。ぶっちゃけ中身はたいして無い話だが、それで強烈にうるさいマニア達を黙らせる監督の力技に驚かされる。唯一20世紀フォックスのファンファーレが無いのが悔やまれる。

クリード チャンプを継ぐ男』
 アポロの隠し子をロッキーが鍛えるという胸熱スピンオフ。前回でシリーズが綺麗に終わり快哉を叫んだオールドファンの心残り、『ロッキー5』とかいう一点の曇りは本作で見事に払拭された。観たいモノをちゃんと盛り込んだベタな感涙ドラマが嬉しいし、今風な黒人映画のテイストを加味し焼き直しの印象を与えないのも偉い。


 結局、年間で洋画37作、邦画24作のトータル61作を観賞。去年とほぼ同じ実績だった。