観た映画(2019年4~6月公開)

麻雀放浪記2020』
 「これ、本当に白石和彌監督?ダメな時の三池崇史園子温じゃなくて?」って思うぐらいおつむのネジが緩んだ世界観で驚いた。正直、社会風刺的要素は邪魔くさいだけなのだが、現代に現れた昭和の博打打ちのカルチャー・ギャップ・コメディ部分はそれなりに面白かった。84年版のオマージュが至る所に散りばめられてるのも嬉しい。

『ハンターキラー 潜航せよ』
 リアリティは気にせずにカッコいい男達に胸を熱くするB級ミリタリー。とにかくテンポが良く、よくある展開ばっかなのに飽きさせない。潜水艦・陸の特殊部隊・司令部のパートが切り替わりつつ進行する間に各々のキャラも作戦状況もアクションの位置関係もきっちり伝わる。味方は全員が超有能で人格者揃いという勧善懲悪ぶりも爽快。

『愛がなんだ』
 若い女性にウケてロングランヒットしたらしいが、何が刺さったのか正直よくわからない。主役の岸井ゆきのは痛々しいほど一途だが共感は難しそうなトンデモ女だし、成田凌は安定のサイテー男ぶりだし。とはいえ、こんなドロドロの報われない恋模様を軽快に描いてしまう手腕は見事。カメラマン君との対比とか脚本も巧い。

アガサ・クリスティー ねじれた家』
 クリスティーなのに最後まで探偵が全く活躍しないで唖然。ミステリーとしては古典の部類かつ、演出もミスリードが下手なので盛り上がりに欠ける。海外ドラマで見かける女優さんがちらほらってのと、ヒロインのステファニー・マティーニの美貌が見所。

アベンジャーズ/エンドゲーム』
 前作『インフィニティ・ウォー』の続きだけど『アントマン&ワスプ』『キャプテン・マーベル』のオマケ・シーンも鑑賞必須。その他、シリーズの記憶を総動員せざるを得ない構成なので長くは感じない3時間だった。これだけの豪華キャストを揃えるだけでも偉業なのに、各々に見せ場もあるし話も力技に頼らず綺麗に纏まってた。ギャグ多目なのも凄い。キャロル強すぎ問題が未解決なのと東京シーンが全体にアレな点は不満だけど。

『名探偵ピカチュウ
 ポケモンたちの基礎知識すら持たない身としては、ほぼ『ズートピア』な世界観を楽しむしかなかったわけだが、デフォルメが予想以上にかわいいし実写との共存も違和感なしで素晴らしかった。ただ、研究所潜入の辺りから探偵モノを逸脱するのが残念。最後は良い話っぽく纏めたが山場はかなり雑。ヒロインや刑事を絡めないのは勿体ない。

『居眠り磐音』
 佐伯泰英のロングラン時代小説の映画化って事で松竹もシリーズ化を狙ってるらしく役者が豪華。それがあっさり死んだり顔見せ程度で退場したりするので、意外性はあるが落ち着かない。メインキャラの描写に時間を割かず直ぐ台詞で説明しちゃうのも苛つく。とはいえ、王道娯楽活劇として手堅い造りで、集客不足で終わらせるには惜しい。

アメリカン・アニマルズ』
 当事者や家族による証言を織り交ぜつつ再現される、無駄に実行力があるボンクラ大学生達が起こした窃盗事件の顛末記。計画から実行までウルトラにおバカな若者たちがスタイリッシュに描かれてるのが異様に可笑しかった。青春映画なのに彼らに全然女っ気がないのが物哀しい。オーデュボンの本『アメリカの鳥類』の巨大さに驚かされた。

『空母いぶき』
 俳優陣は頑張っているが、どうにも食えない生煮え脚本。脈絡無く差し込まれるコンビニのシーンや、情勢に影響しない低レベルな記者達もキツイが、根本的に足枷だらけの自衛隊の有事対応や政治的なドラマ部分で納得性が低すぎる。特に捕虜のくだりが稚拙。

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
 所謂「ギャレゴジ」の続きだが、後任マイケル・ドハティ監督のゴジラ愛がスパークし過ぎて、悪い意味で「日本の怪獣特撮映画」っぽい仕上がりに。即ち、怪獣プロレスばかりに全力で、ドラマが子供向け・・・というか出鱈目。そして説明台詞が跋扈。まあ、オマージュだらけでゴジラ好きには堪らないんだけどね。

ザ・ファブル
 色々アンバランス。凄いが細かすぎて伝わらないアクション。たぶん岡田准一本人が凝った銃撃動作や高度な格闘術を駆使してるが殆どが覆面姿。主役はクドく相棒の娘は妙に薄いキャラ設定。ヤクザ演出がなぜかサイコパス。そして徹底してスベるギャグと比し爆笑の主題歌選曲。総合的には豪華キャスト熱演で面白いっちゃ面白い映画だったが。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
 マーベル版の2作目だが『アベンジャーズ/エンドゲーム』の後日談の意味合いのが大きい。でかくなりすぎたスケールを修正する工夫に満ちてて、高校生ヒーローの青春模様と成長の物語という本来の形に無理なく帰結して感心。ガジェット類を駆使したアクションも面白かった。「ツェッペリン大好き!」の曲が実は『AC/DC』というハードロック好きの爺向けギャグは日本だと気づかない観客が多そう。