有川浩「海の底」

メートル級巨大エビの大群襲来パニック。
硬派な軍事パニックものを期待したのだが殆どライトノベルだった。
ちゅか、解説によるとそもそもそっち方面の作者さんなのね。
まあ、子供達が潜水艦に取り残される設定は面白いし、想定外の敵に苦闘する機動隊の描写も良く書けてる。
ただ、政府判断をもたつかせるには初期被害がでかすぎる。自衛隊の即時投入に世論は強く傾くだろうから躊躇の余地は殆ど無いように思うけどね。
でも、機動隊パートは概ねリアルで楽しめました。燃えや浪花節も堪能出来るし。
問題は潜水艦パートで、エピソードに緊迫感が薄いし展開にツイストが無いのも不満。
親と離され家にも帰れずエビの恐怖を目の当たりにした子供があんなに聞き分けが良いとは思えないし。
それに機動隊退場で実質エピローグに突入してるのに、そこから読者の想像に委ねれば済むことを50頁以上もだらだら続けては蛇足感がたっぷり。
最初に読まないと意味のない短編を巻末に収録してる点も大きくマイナス。

海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)