『スピリットウォーカー』
『ジョン・ウィック』っぽい体術とガンアクションがてんこ盛りの韓国で大ヒットしたサスペンス。「12時間ごとに違う人間の体で目覚める」という設定は面白いが、「誰に憑依してても観客目線では主人公ボディ」という普通と逆の演出のせいでかなり混乱した。
『シン・ウルトラマン』
予備知識があれば初代ウルトラマンのヘンテコなところの凝縮を存分に楽しめるが、それでも終盤は明確に失速。何でそんなに人間が好きになったのかが理解不能な上に、説明台詞の応酬がくどいので燃えない&泣けない。その他、不要なセクハラが過ぎるとかダメ要素ばかりが目立つが、この映画はメフィラスの怪演に尽きる。ありがとう、山本耕史。
『流浪の月』
善意の共棲だったが被害女児と誘拐犯になった二人の15年後の物語。ステレオタイプな世間の目、大きなお世話のマスメディア、根底で分かり合えない人と人。李相日監督らしい、トラウマを抱えながら生きる男女の繊細な感情のドラマで、惹き込まれる150分だった。話は殺伐と重苦しいが、自然の風景がやたら綺麗で印象的。
『ハケンアニメ!』
「派遣じゃないんだ」って思うほどに予備知識ゼロで鑑賞。劇中アニメが異様にハイレベル。業界映画としては価値観の衝突が分かりやすくて面白い。1クールのTVアニメじゃ進行や予算に無理あり過ぎる話だけども。バランス的に神原画の人のパートが浮いちゃってるのが残念。
『トップガン マーヴェリック』
産業ロック時代の軽い青春映画に過ぎない前作を完全に凌駕し、繋がってるのに全然違う奇跡のエンタメが爆誕。がっつり操縦できるトム・クルーズによる迫真のコックピット演技、位置関係や状況が把握しやすいロジカルな編集テク、何より満載フライト・アクションの没入感が凄まじい。終盤のご都合主義な展開は前作ファンへの嬉しいご褒美。
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』
「妙に細いザク」で知られる殆ど番外編のエピがまさかの映画化。安彦良和の漫画準拠なのでリアル路線に補強されると思いきや、男一匹孤児20人と無人島開拓な無理設定の元、不自然展開を連発。中途半端なドラマや肩透かしの戦闘にはガッカリなのだが、ハイクオリティな作画は良かった。あと、「 二度もぶった!」をわざわざ挿入してて爆笑。
『メタモルフォーゼの縁側』
BL漫画を通じてお友達になったJKとおばあちゃんがお互いの世界をちょっと広げるお話。芦田愛菜目当てで観たが、伊丹映画や『あまちゃん』のイメージとは全然違うチャーミングな老女を演じた宮本信子が素敵だった。あまり起伏の無いドラマなのに不思議と眠くならず終始楽しめた。
『PLAN 75』
高齢者自身による生死選択権支援制度が施行された日本の近未来SF。若者視点も丁寧に、問題提起と幾ばくかの救いを残して巧く締めた印象。超高齢化社会待ったなしの現状で年金・介護の破綻や若年層の負担を考えると納得のプランだったりするので困る。ただ、希望退職とかだと、有用な人ばかりが去って後が大変だった記憶が・・・。
『ザ・ロストシティ』
B級感漂う冒険ロマコメで、主演が還暦間近のサンドラ・ブロックという地雷案件。案の定、アトラクション的な仕掛けやアクションは大したコトなくギャグもそこそこ。無駄に豪華なキャストが織りなす妙な化学反応で意外に笑えるが、最後まで保たすには至らず。
『神は見返りを求める』
露悪的なダメ人間描写に定評の吉田恵輔監督オリジナル脚本作。宣伝を観たときに予想した通りの内容だったのだが、主役二人への嫌悪感をギリギリの所に保つ按配に感心しながら楽しんだ。関係をこじらせて酷いことになっていく様を描くブラックコメディだから、どの役柄も基本胸クソなので注意。
『ベイビー・ブローカー』
是枝監督が手掛けた韓流ロード・ムービー。韓国の養子縁組と人身売買を題材に、『そして父になる』の対で母性が薄い女が、ブローカー達と『万引き家族』などでお得意の疑似家族ものを展開する。本筋は手堅く感動的だが、刑事やヤクザの動きが「???」なのでちょっと困る。あれは韓国だと納得の範疇なんだろうか。