観た映画(2017年4〜6月公開)

『ハードコア』
 これぞ新感覚アクションって感じの工夫を凝らした作品。FPSのゲームって全く縁が無いんだけど、こんな感じなのかしら?斬新な映像に加え世界観の狂いっぷりも刺激的で楽しかった。全編一人称視点っちゅうことで画面酔いでクラクラし、アクション要素詰めすぎ情報量多すぎで頭も疲れて誤魔化されるけど、話自体は一本調子で退屈なのが難。


『ゴースト・イン・ザ・シェル』
 ジャパニメーション版リスペクトな凄いヴィジュアルが多々あり、かつ、あの面倒くさい押井守の哲学要素がごっそり抜けて話は解り易くなってる。正直、予想より数段出来は良かった。だが、似たようなSF映画が粗製濫造されてる現状での実写化はあまりに遅すぎたと思う。白人って事より少佐の体型にコレジャナイ感が強いのもマイナス。


『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』
 5歳で迷子になったインド人の故郷への長い道のりを描く実話ベースの作品。映画賞界隈を眺めると、インド系若者役でお馴染みの実力派俳優デーヴ・パテールはあくまで助演で、主演はその幼少期を演じた子役ってのが謎だったのだが観て納得。とにかく圧倒的な存在感。オチが判かってても存分に魅せる脚本力にも唸らせられる。


美女と野獣
 キャラ的にエマ・ワトソンはこの役に合うと予想したが、歌も踊りも思った以上に嵌まってた。ルーク・エヴァンスのガストンも完璧。野獣をはじめ「魔法が解けたら誰やねん」多発なのは苦笑。アニメ版で指摘されてきた変なところが色々フォローされてて微笑ましい。ただ、余計なモノを足し過ぎてもっさりした印象も。


帝一の國
 原作は知らんが「漫画実写化の成功例」と噂に聞いて観賞。なるほど、学園コメディとしてノリが良く寒いギャグは殆ど見当たらない。高校生には見えないホスト顔の若手キャスト達の大袈裟な芝居も世界観に合ってる気がする。ただ、採点のやり取りとかフンドシ太鼓とかのインパクトに比べ終盤が弱い。肝心の所で不要な殴り合いに尺を使いすぎ。


ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
 ストーリーと密接にリンクした選曲ってのが英語がダメダメな我が身に厳しいのは相変わらずだが、世界観とかメンバーの関係性が解ってるので前作より観やすかった。各々の活躍場面も妥当な配分だし因縁キャラとの絡みも良し。ギャグも面白いしベイビー・グルートはいちいち可愛いが、それが挿入されることでテンポが悪くなるのが玉に瑕。


破裏拳ポリマー
 『キャシャーン』や『ガッチャマン』の実写よりはましだけどコレジャナイ感は強い。流行りのシリアスなアメコミ映画を意識してる割に話は大人っぽく無いし。アクションや効果は予算の割に頑張ってるけど印象に残るのは柳ゆり菜&原幹恵の谷間ばかり。


マンチェスター・バイ・ザ・シー
 「暗い過去を持つ孤独な男と兄が遺した息子が織りなすヒューマンドラマ」と聞いて想像した内容とはかなり違った。オスカー脚本賞も納得で回想シーンの入れ方が抜群に巧い。淡々と地味な映画だが退屈はせず、切なさが心に沁みる。実はずっと舞台は英国(そっちにもマンチェスターとボストンがある)と勘違いして観てたんだけどね。


『メッセージ』
 アカデミックな第三種接近遭遇モノらしく小難しい本格SF。いや、最終的にはそんなに難しい作品じゃないと解るんだが過程は複雑で超ディープ。幻想的で静かな映像がとても良い雰囲気だった。ただし、終盤のパラドックス展開は腑に落ちない。あと、表意文字を使ってて同盟国な我が方も、ちょっとは活躍させて欲しかった。


『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
 謎なタイトルだが中身はマカロニ・スーパーヒーロー映画だった。精神を病んだヒロインの心の支えとして『鋼鉄ジーグ』が登場するのだが、イタリアでこの古いロボットアニメはどんな位置付けなんだろうか?さておき、ローマの貧困地区で繰り広げられる超人に覚醒した盗人とチンピラたちの殺伐とした抗争がクール。悪役のゲスっぷりも素敵。


LOGAN/ローガン
 これまで『X-MEN』シリーズを一切観ないで来たが、血みどろアクションとして絶賛の声には抗い難く。基本設定がさっぱり解らないものの、正当防衛であれ無自覚な非道であれ「異能者が背負う罪」を容赦ないゴア描写で見せつけられ満足。疑似家族ロードムービーとしての交流が薄目なのが残念。


『22年目の告白 -私が殺人犯です-』
 ネタ元の韓国版は未見。「時効成立後に犯人が自供」も「殺人犯が手記を出版」も日本で実際に在った事なのでプロットの面白さは申し分ない。過去と現在の映像の使い分けが巧く雰囲気もとても良い。だが、ミステリーとしては粗が目立つ。特に、肝心の時効を崩し犯人を追い込むロジックが致命的に弱い。ラストも蛇足。


フィフティ・シェイズ・ダーカー
 ロマンチックじゃないしエロくもないがギャグとして笑えた。とにかく「今から?ここで?何故?」な濡れ場の連発。間に挟まる薄っぺらい話を進めるために脱いだり着たり忙しい二人。もう、男の闇とかどうでもよさそうなので勝手にしろとしか・・・。


ハクソー・リッジ
 沖縄戦で多くの人命を救ったミラクル衛生兵の実話が元ネタ。メル・ギブソン監督らしい一線を超えた戦争描写で贈る、物量や装備差を凌駕する日本兵の驚異と、正面突破な地獄の戦場を丸腰で駆け回る英雄の狂気。少年期・青年期・新兵訓練期で非暴力を信条とする人物像を追う前半部分も何気に面白い。これだけ詰め込んでも駆け足感が無いのが素晴らしい。