観た映画(2020年1月公開)

『エクストリーム・ジョブ』
 韓国発のポリス・アクション・コメディ。市警のお荷物な麻薬捜査班5人組が張り込みの為にフライドチキン屋のふりをしてたら一躍有名店に・・・ってな話。韓国らしさがぎゅっと詰まってる一方、吉本芸人のコントっぽい掛け合いが多く笑える。脚本も良く出来てて、しっかり伏線回収して痛快に終わる様が見事。

『フォードvsフェラーリ
 フェラーリル・マン24時間の絶対王者だった時代、フォードの依頼で車両開発とチーム運営を担ったオーナー&ドライバーの実録モノ。レースシーンは大迫力で、友情物語は胸熱で、本社上層部の相次ぐ横槍に感情移入も凄まじく。ただ、エンツォ・フェラーリが本拠地から離れない人ってのは超有名なだけに終盤の演出は気になった。好いシーンなんだけどな。

ジョジョ・ラビット』
 無邪気なナチス少年と妄想ヒトラーのブラックユーモアと思いきや、背景にはヒトラーユーゲントのヘイトな思想教育があったり、中盤にはサスペンスやシリアス展開もあり、最後はきっちりと「そして、少年は大人になる」な話へ。とにかく抜群に魅力的なキャラ立てで、子役も大人も素晴らしい仕事ぶりだった。英語劇なのは別にかまわんが、言葉が通じない設定の米軍も普通に英語しゃべるのは・・・。

『リチャード・ジュエル』
 今回も実話ネタなイーストウッド監督作。「松本サリン事件」的な見込み捜査&メディアリンチの話を手堅くサラリと面白く描く。劇中ではFBI批判が重きをなしてるが、個人的には報道側の姿勢の方が刺さった。関係者のリークを検証無く記事にして、事実かどうかは気にしないし誤報・誇張でも滅多に謝らないのは日本でもよくある事だから。

『ロマンスドール』
 アダルトなラブドール製造という自分の仕事を妻に隠している職人の物語。高橋一生の繊細な演技が光る。脱いではいないが蒼井優が体を張りまくっており、彼女を模したラブドールも登場する。付き合いたてからすれ違ってギリギリになるまでの夫婦のドラマに心が揺れた。ラブドール造形の進化や素材の変遷など物作りの面でも興味深かった。

『キャッツ』
 三谷幸喜の舞台で、本筋に影響ない曲をカットしたら「メモリー」しか残らないってネタがあったが、つまり歌とダンスできちんと魅せる以外にない題材。なのに、肝心なとこでアップ多発など編集のテンポが超悪い。曲アレンジは格好いいけど。まあ、不気味の谷を彷徨う中で、お目当てのテイラー・スウィフトはセクシーでクールだったので満足。

『AI崩壊』
 AIより設定・脚本・演出の崩壊が深刻。電源落ちただけで大惨事なシステム設計、説明無く色々ハイスペックな主人公、不自然だらけの愛娘プロット、バディ感は好いが本筋に全く絡まない刑事コンビ、事態を放置する関係各位など、とにかく作劇が雑過ぎる。

前田建設ファンタジー営業部
 マジンガーZの格納庫という空想建造物見積もりに本気で取り組んだ実話に基づくお仕事映画。ハイテンション・コメディの過剰演出がきつかったが、「プロジェクトX」的な部分は面白かった。でも終盤がテンポ悪く、その盛り上がりが台無し。

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
 古風な探偵物の香り漂う現代劇。嘘をつくと嘔吐する設定のヒロインとかパロディ寄りかと思えば意外に本格で楽しかった。工夫された構成に原作物かと思えば脚本は『最後のジェダイ』でとっ散らかったライアン・ジョンソン監督オリジナル。欲を言えばダニエル・クレイグ扮する探偵にもっと個性の強さが欲しい。