観た映画(2018年10~12月公開)
『フィフティ・シェイズ・フリード』
惰性で観た三部作最終作。官能方面もセレブ方面もスケールダウンして、チープなラブサスペンスになってしまった。とにかく全般的にエッジが効いてない。でも、内容と裏腹にサントラはポップな曲が粒ぞろいで嗤う。
『イコライザー2』
続編だけど単独で成立。周到な準備で状況を瞬時に識別し、手近にあるものを武器にスマートに悪人を殺戮する戦闘スタイルは今回も健在。アクション超楽しい。ただ、本筋であるべき必殺仕事人として勝手に人助けの日々を送る話と、親友殺しの真相を追う話が巧く混ざってないので幾分バランスが悪い。
『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』
17世紀のオランダにチューリップ狂時代が在ったとか全然知らなかったので歴史や当時の文化・風俗方面でタメになった。豪商の妻が貧乏画家と恋に落ちてってな在り来たりロマンスも後半は意外な展開となり退屈はしなかった。画家が修道院長に気に入られる件が理解不能だったり、球根取引関連のシステムが急ぎ足で分かり辛いのが難。
『日日是好日』
茶道を通じて学ぶ、五感で味わう生きる歓び。非常に静かで地味だけど素敵な映画だった。和のモノは覚えてからが稽古なんだとつくづく。二十歳から四十代まで演じた黒木華の所作が見事で、素人目にも心の成長と佇まいの変化がひしひしと伝わる。そして、公開直前に突然の別れが訪れてしまった樹木希林さん演ずるお茶の先生の圧巻の重みと温かみ。「毎年同じことができるということが本当に幸せなんですね」って台詞がもう・・・。
『デス・ウィッシュ』
残酷描写に定評のイーライ・ロス監督による『狼よさらば』リメイク。でも暴力面は意外にマイルドで、それよりもお手軽に動画が見られたり撮られたりなネット時代的演出が面白かった。「銃による自警活動を称賛」とか目くじら立てるよりも、「アメリカって大変だよなぁ」と思いつつ娯楽作品と割り切って楽しむべき。
『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』
シリーズ3作目ともなると、どうにも話は薄っぺらい。コメディのパンチ力もかなり衰えている。けど、今どきのポップな楽曲に疎くても楽しめるレベルで、キュートな美女達の刺激的で面白いア・カペラとダンスが披露されるので文句は無い。90分じゃ物足りない事を除けば。
『ヴェノム』
『寄生獣』みたいな血まみれダーク路線かと思ったらコミカルでポップなヒーローものだったという予告編詐欺。設定上は人食い生物なのにグロ描写はぬるく恐怖感皆無なのにがっかりだが、『仮面ライダー電王』的なバディ感が心地よくテンポも良い。ただ、ちょっとシーンを足してくれれば解決しそうな説明不足が彼方此方にあってモヤモヤする。
『ボヘミアン・ラプソディ』
事実関係が大きく異なるとわかって観てても終盤の怒濤の泣かせにゃあらがえず。ライブエイドのシーンは口パクなのに実際の記録映像より感動してしまう。あそこで演った曲の歌詞にシンクロするように本編を作劇したんだろうから凄まじい。エンドロールの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」と「ショウ・マスト・ゴー・オン」で余命の生き様を表現したセンスにもガツンときた。
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』
前作は観てなくてもOK。メキシコの兇悪麻薬カルテルと渡り合う凄惨なテイストはそのままに、違法も辞さず合理的で非情だった親爺ペアも少しだけ人間味あるキャラに変更され、コレはコレでグッとくる。銃連射シーンには驚愕。そして、女子高生役のラテン系の娘が可愛かった。なお、前回の主演女優エミリー・ブラントは出てこない。
『ハード・コア』(2018)
山田孝之、佐藤健、荒川良々&古臭いロボットの昭和感溢れるポスターに惹かれ鑑賞。シュールなドタバタ喜劇を想像したんだが、意外に笑えそうで笑えないハードボイルドな話だった。予想つかない展開でそこそこ面白いが、どうにも話が膨らまない。
『ヘレディタリー/継承』
「映画秘宝」界隈ではスゲー怖いと絶賛のホラーなわけだが、個人的には全然。ムードや女優さんの顔芸は確かに良い感じだけど、妄想を疑わせる演出やスピリチュアル要素に辟易して始終醒めていた。
『来る』
癖の強い中島哲也監督らしく徹頭徹尾やり過ぎてて、不快感ばかり強いがホラーとしては全く怖くない。重要な部分が異様に曖昧だし。だが、終盤に入って無駄に壮大な霊能バトルものにギヤチェンジすると「何故の嵐」なバカ映画として楽しめた。おいしいとこは柴田理恵が全部持って行った。
『暁に祈れ』
タイの刑務所を舞台にした実録ムエタイ映画と言うことでスポ根ドラマを想像してたが全然違った。敢えてタイ語部分は字幕無しで進行するドラマは、威圧的で言葉の通じぬ全身タトゥーの囚人たちに囲まれた監獄生活。賄賂が無いと色々キツイ劣悪な環境は、非常に怖い脅しばかりで緊張感が半端なかった。終盤にはムエタイ燃え展開もちゃんとある。
『アリー/ スター誕生』
手堅くオーソドックスに現代リメイク。レディー・ガガの歌唱シーンは掛け値無しで演技の方も案外いけてた。初監督・主演に加え歌も無難にこなすブラッドリー・クーパーにも驚かされた。ただ、カントリー・ロックからダンス・ポップに転身ってとこのモヤモヤ感が強いし、粒揃い楽曲の中でその売れ線の曲ってのの出来が微妙なのが困る。