観た映画(2015年1〜3月公開)

 5月にして今年初めてのエントリー。色々あって観賞ペースは最近だだ下がりなのよね。今回は短評も付けてみた。

ビッグ・アイズ
 実際に起きた一大スキャンダルが題材なので、ファンタジックなティム・バートン節は封印。事件の顛末自体は興味深かったが、屑亭主の商才が無ければヒロインの絵は世に出てないと思うのであまり感情移入は出来ず。クリストフ・ヴァルツの爆笑一人裁判をもっと見たかった。

『ANNIE/アニー』
 悪評渦巻くミュージカル『アニー』の現代版リメイクだが、今風の楽曲アレンジやギャグ多めの脚色は言うほど悪くない。ちゃんとハッピーな気持ちになる。けど、かなり踊れそうな孤児達に見せ場が殆ど無かったり色々惜しい。

『はじまりのうた』
 「キーラ・ナイトレイってこんなに魅力的だったっけ?」と驚いた音楽映画。ミュージック・シーンは本当にどれも楽しそうで画もお洒落。ストーリーはベタだけど素敵で、何より回想多めの構成がとても巧い。楽曲も思わずサントラ買っちゃうほど好み。

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』
 エロスもロマンスも低空飛行だが欧米的な展開が意外に面白かった。サディスティックな性癖の金持ちイケメンが惚れた弱みでノーマルに寄せられるオチと決め打ちで観てたので唐突な幕切れには爆笑。ここで終わっておけば画期的だと思う。

フォックスキャッチャー
 実話ベースではあるが時系列や事件背景などはかなり弄られてるらしいし、偏った見解による脚色も気に入らない。コメディ俳優スティーブ・カレルのシリアスで不気味な演技は一見の価値あり。

『D坂の殺人事件』
 緊縛が売りの低予算映画なんだから情事と心情描写に特化しても良いと思うんだけど、中途半端にミステリーを維持して墓穴。『屋根裏の散歩者』と混ぜた意味もわからない。更に、ヒロインがエロくも美しくも撮れて無いのが致命的。

アメリカン・スナイパー
 淡々と描いてグサッとくる安定のイーストウッド節で贈る伝説スナイパーの実話映画。手に汗握る戦争アクション、特に緊迫の狙撃シーンが圧巻。決して戦争賛美じゃない事も普通に伝わる。ただ、メリケンさんは結構な割合で「兵士か壊れていく」→「無人化」って発想に至るから、それはそれでおっかない。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
 邦題の所為で観る気が失せてたが、中身は元気が出るロードムービーだった。とにかく爽快感が堪らない。Twitterの使い方が巧いのもグッド。そして、キューバ風サンドイッチのアレンジメニューが出る度にめちゃくちゃ美味そうで困る。

『ソロモンの偽証 前篇・事件』
 ニキビの女の子を中心にほぼ無名の子役達の熱演が素晴らしい。だが、「真実を知りたいから裁判をする」という謎の論法からして後篇は期待薄。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
 対独戦争を勝利に導いたエニグマ解読チームの中心人物を戦前・戦中・戦後のエピソードを複雑に織り交ぜて描く。観客は天才の変人ぶりに快哉を叫び、偉業達成も任務の性格上秘匿されざるを得ないことに嘆き、さらに意外な秘密から予想外の結末を突きつけられる。とにかく脚本が非常に練られており史実なのにもの凄くドラマチックな傑作。

『ジュピター』
 ウォシャウスキー監督&スペオペって事でオイラと相性悪いと予感してたが間違いじゃ無かった。アクションに工夫がなさ過ぎるし、設定も矛盾だらけでいらつく。ストーリーは「ヒロイン大ピンチ」→「間一髪」の予定調和を3回も繰り返す。


 たった11作なのに何故か似た切り口の映画が集まってる。伝記物が4作、音楽物が2作、SM物が2作、それからSNSネタで『アニー』と『シェフ』、ダメ親父再生で『はじまりのうた』と『シェフ』が被ってたり。ついでに『フィフティ・・・』と『ジュピター』がラジー賞繋がりか。